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“また会えませんか? ”
“どうか連絡先を教えて”
何度も口に出しかけたその言葉を呑み込んだ。
たぶん帰ってくる否定の返事を聞いてしまえば、今しているかりそめのデートですらその瞬間終わっていまいそうな気がしたからだ。
まだ早い。まだ……。
そして今私たちは遅いお昼を食べるために小さなレストランにいる。
ヒラルダのあとアルカサルも見たが、アルハンブラを意識して造ったと言われるだけあって、似たような印象を受けた。そしてたいてい最初に受けたインパクトが一番強いものなのだ。
いや、それだけではないのかもしれない。
アルハンブラが私にとって特別なのは、この反対側に座って白ワインを口にしている人のせいだ。
あの宮殿に行かなければ、彼と再会することはなかっただろうからだ。
「Aqui esta」 (はいどうぞ)
目の前にクレソンやレタスなどグリーンがどっさり盛られたガラス製の皿が置かれて、意識を急にこちらに引き戻された。
「Gracias」(ありがとう)
あれ、これドレッシングがかかってないよ?
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