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「あー、もう迷ってしまって」
お土産を選んでいる間カフェで待っている彼のところに行くと、怜さんは案の定またスケッチブックに何かを描いていた。
「またずいぶん細かいものをこちゃこちゃと買ったな」
「だってどれも可愛いくてー」
「ふぅ疲れた」 と思わず口にすると、「とりあえず座ったら」 と彼は目の前の白いチェアを指差して、それからウェイターを呼んだ。
「ここのアイスココアはおいしいから」 と付け足しながら。
「怜さんはパリでは学生なのですか」
無駄だとわかっていてもやはり聞いてみたくなる。
「いや、モラトリアムしてるだけだよ」
やはり詳しいことは教えてくれそうにない。
「君は戻ってすぐ仕事なのか? 」
「ええ、まあ翌日から」
「そうか。それは大変だな」
「まあ勤め人ですから」
戻るところがあるのは幸運だとわかっていても、小さなため息が出そうになる。
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