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楽しそうに子供たちと交流する彼を見て、初めて会った時の光景を鮮やかに思い出す。
あの山あいの崖に張り付くようにして立っていた、小さなレストランの外に置かれたテーブルで見た光景を。
グアンタナメラというキューバの曲に浮かれて踊り、飛び跳ねる子供たちの中心にいたのが、怜さんだった。
あの時、あの曲を気に留めなかったら。
彼と目を合わせることもなかったのかもしれない。もちろん言葉をかわすことも。
アルハンブラで再びすれ違っても、お互いの存在に気づくことすらなかっただろう。
今、この地上に73億近くの人が住むというけれど。
その中でこうして、人生のある一時(いっとき)にある場所で出会う可能性が、いったいどれくらいあるんだろう。
その出会った人と再び言葉を交わす可能性が。
ましてやその言葉を交わした人と恋に落ちる可能性が。
いったいどれくらいの確立でありえるんだろう。
そんな奇跡。
無駄にはしたくないよ……。
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