3369人が本棚に入れています
本棚に追加
到着したマドリードのAtocha(アトーチャ)駅は、構内に植物園がある巨大な駅だ。パリのエッフェル塔をデザインしたのと同じ人が、19世紀末にデザインしたものだ。
植物園のそばには当然のごとくカフェがあって、通勤帰りの人たちがコーヒーを片手に一休みしていた。
人々の声がガラス張りの天井に反響して、ただでさえ活気のあるスペインの夜をさらににぎやかなものにしている。
でも、私の心はまったく別模様だ。
駅の出口へと向かう一歩一歩が、彼とのお別れに近づく一歩一歩なのだから。
いっそここで何か事件が起こって、彼とこの駅に閉じ込められでもしたなら--------
最初のコメントを投稿しよう!