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「ホテルはどこなの」
物騒な妄想にはまり込んでいたので、彼の唐突な質問に驚いてつんのめりそうになった。
「おい、どうした。だいじょうぶか? 」
「はい」
恥ずかしくて声が消え入りそうになる。
「タクシー乗り場まで送るよ」
感情の読み取れない声でそう言われて、ようやく体勢を立て直したのに次の一歩が踏み出せなくなった。
怜さんはこれからどうするの?
こんな時点まで聞けなかった問いは、やはり口には出来なくて立ち止まったまま、ただ彼の顔を見る。
唇をキッと引き結んだままで。そうでないと感情が目から溢れ出しそうだから。
もう夜の8時近いけど、まだ飛行機はあるんだろうか。列車で行くのならおそらく夜行になるのだろう。
もしパリに待っている人がいるのなら、急いで戻らなきゃいけないのかもしれない。
でも。
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