第1章

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雨戸を叩く風が強さを増して、雨もバチバチと打つ。 実家は木造で、瓦屋根。 音も違うものだ。 大人になると、見えぬものに怯えることが減るんじゃなくて 見ない振りが板に付くだけ、なんだ。 数えきれない寝返りのあと、ふっとぬくもりが欲しくなる。 旦那は、もういい。 こんな風の強い夜に、子供でもいればすがり付いて来るのかもしれない。 怖いねえ。 大丈夫だよ。 そんな事を言いながら眠りに落ちるのかも。 視界の端を、何かがサッと横切った。 肩越しに見ると、小窓があった。 あの窓には雨戸が無かったから。 原因がわかると、恐怖は解けた。
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