第1章

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台風の目に入ったのか風雨は止んでいた。 小窓をじっと見ると、流れていく雲の切れ間がシーツに影を作った。 止んだ。 もう一度、 横になって睡魔の尻尾をつかもうとした。 コンコン コン コン コン びちゃっ、 びちゃびちゃ 小窓から、音がした。 振り返るのが怖い。 二人で決めた合図。 宿題が終わってからしか遊びに行けない私と、両親が居ないのでランドセルを置いてすぐに呼びに来る、あの子。 川に行くって、知ってたのに。 後で、って。 雨が強くて怖くなって、あの子も行かないだろうと思ってた。 体が強ばって、振り返ることが出来ない。 きっと、また雨が降りだしたんだ。 その音だ。
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