小さな、窓

第1章

ほどなく、ぱらぱらと雨粒の音がした。

ほら、さっきよりも優しい雨。

これで洗い流して、明日の朝には嘘みたいに晴れているはず。

このまま、眠りに落ちればいい。

知らないふり、見ないふりをしていれば、怖いものは過ぎていく。

『昨日、最後に会った人はいませんか』

先生が聞いた時も。

ざわざわ。

ざわざわ。

風の音もしてきた。

大丈夫。

もう怖い音は聞こえない。