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「お前、まじでふざけんなよ…後で絶対…」
「後で何?何してくれるの?触ってくれるの?それとも触っていいの?耳くちゃくちゃ触らせてくれるの?」
俺は少し表情を緩めて響一を見つめた。優しい俺を、少しでも優しい俺を今のうちに見せたかった。後何分後かに俺は、お前を完全に嫌いになるんだよ。今のお前は知らないだろうけど。
「お前…」
違うでしょ、響一。
「名前。」
「は?」
「名前呼べよ。俺の名前はお前じゃない。」
「おま……くそっ…恭介、そろそろ許してくれよ。」
「何を。」
「悪かったよ。あんなに色々、お前の気持ち知ってて俺…」
咄嗟に響一の髪の毛をぐさっと引っ張り上げた。頭の皮が剥がれるかと思うような、びりびりとする痛みが響一の脳裏を斬り刻んでいくのを願いながら、その痛みを永遠に忘れないようにするために、俺は全力で響一自身を至近距離に詰めさせた。
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