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「俺の名前はお前じゃない。さっきの、聞こえなかったの?あんなに地獄耳のくせして。それともフェイクなの?本当は何も聞こえてなくて、俺がすぐ傍にいるの気づいてなくて、あの子が気絶するくらいまで焦らし続けてたの?それならしょうがないか。
それなら許してやるよ。耳が悪いんなら、その耳が地獄耳じゃないなら許してやる。でももし、全部聞こえてたんだとしたら、俺に響一の事、何でも好きにやらさせてくれる時間頂戴よ。それが終わったら、もうこの関係は終わり。普通の双子の兄弟だ。それで全部お終いだ。」
「許して…何でもする…何でもするから…」
「そうじゃないんだよ、響一。俺が聞いているのはそれじゃない。聞こえたのか、聞こえてないのか、そのどっちかだ。」
「…」
「答えろ。響一。」
びくびくと震える響一をじっくりと見ながら、俺はこれからも胸をいっぱいにするはずの響一への気持ちを全てまっしろに染め上げる決意を、マフラーを探す素振りをしつつ響一を横目で確認しながら静かに固めた。
響一、今だけそっと言うよ。大好きだったよ。
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