第1章

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学校へと続く坂道に植えられている桜が芽吹き、花びらが春風に乗り舞っている風景を見て、また歳をとるんだなぁと年よりじみたことを考えながら視線を桜から外し前を見ると、暑くなってきた春の日差しを更に暑くするように一人の男子に二人の女子がこれでもかと言わんばかりに引っ付いている。 「ちょっと二人とも!放れて!遅刻しちゃうって!」 ハーレムを築いているイケメン、楠 真良。 俺の幼馴染みでスポーツ万能、困った人はほっとけない、無意識で女にフラグを建てる。まさしく小説に出てくる主人公のような奴だ。 「いいじゃん!まだ時間あるし!」 俺の幼馴染み二人目、桜峰 小春。 成績優秀、料理が上手く大抵の人と隔てなく接することから学校には彼女のファンがそれなりに存在する……が、小春は真良LOVEであり他の男など眼中に無い。 「そうだそうだ!こんな美少女と登校できるんだ。細かいことはきにすんなって!」 強引な日焼け女子、久遠 律夏。 テニス部所属でスポーツに関してはかなり優秀、しかし、それ以外は残念で赤点の常習犯。俺は夏って呼んでる。 因みに彼女もそれなりに人気があるが、どちらかと言うとそっち系の女子からだったりする。 ついでに言うとするなら今日は新学期の始まり、つまりは始業式があり二年生以上は何時もより集合時間は早めだ。 ポケットから携帯を取りだし時間を確認……7:55か。 集合時間は8:10で、ここから学校まで歩いて20分。 うん、走ろう。 新学期早々遅刻などごめんだ。そうと決まれば一気に三人を抜き去り坂を駆け上がる。 「あっ!空!一人だけ卑怯だぞ!!」 「フハハハ!遅刻しないように頑張れよー。」 後ろで真良が叫ぶが俺はそれを華麗にスルーし学校へ向かう。 おっと自己紹介遅れました。 何処にでも居るような高校生、海森 空。 今日も元気です。
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