第1章

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「おーい空!」 「ん?」 真良達を置き去りに校門を潜ると、少し離れた桜の下に活発そうな男子がブンブンと手を振りながら大声で俺を呼んでいる。 俺はそちらに向かって足を進め…… 途中で体育館の方へと進路を変えた。 「あれ!?おーい空!?見えてる!見えてるよね!?」 「…………」 「無視か!?無視なのか!?」 「泣くぞ?泣いちゃうヘブッ!?」 このまま体育館まで無視して行こうとしたが、回りをぐるぐると蝿のごとく動き回られ、正面に来るたびに見える顔にイラッときたので歩幅をずらして足を引っ掻けてやった。 「ん?何だ士郎いたのか。」 「白々しいな!?」 足に引っ掛かりずっこけた男子を足で突くと、ガバッと立ち上がり突っ込みを入れてきた。 「キレとタイミングは良いが台詞が一般的すぎる60点。」 「いや、これコントじゃないから!?」 こいつは隼 士郎。 中学からの友達で顔はイケてるが、頭の中身が非常に残念だ。 ついでに言うと変態。 「てか、お前がチャイムギリギリじゃないとか……明日は槍か?」 「俺だってたまには早く来る!……と言いたいが、今日は茅沙を連れてきたんだよ。」 「あぁ、妹の茅沙ちゃんね。なるほど。」 そう言えば今日は入学式でもあるのか。 通りで何時もより活気づいてるわけだ。 「ま、話は体育館の中でしようぜ。薫が席とっといてくれてるからさ。」 「あぁ、了解っと。」 士郎と共に体育館へと入ると、既に大半の生徒が集まっているようでガヤガヤと五月蝿い。 その中で此方に軽く手招きをする男子が一人。 「おはよう空。」 「おはよう薫。」 藤宮 薫、結構有名な会社の跡取り。 付き合いは士郎と同じ中学からで、彼女持ちのイケメン。 俺の周りにはイケメンしか居ないのか……? 「あれ?今日は弥生さんは居ないのか?」 「あぁ、弥生なら生徒会として仕事してるよ。」 「そっか去年の生徒会は入学式まで担当するんだったか。」 この学校の生徒会は四月の終りで結成されるから頭にある入学式は去年の生徒会が準備するのか。 それから三人で喋っていると時間を報せるチャイムがなり体育館内は自然と静まっていく。 ……真良遅刻確定!
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