第1章

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「ふぁっふ……」 現在入学式の真っ只中で市長とかいうハゲが20分ほど喋っているが、眠気を押さえるのが精一杯で話の内容は一切入ってこない。 隣の士郎に至っては既に夢の世界へと旅立ってしまっている。 「で、あるからして「遅れました!!」!?」 まだまだ続くかと思われた市長のはなしだが、急な乱入者によって遮られることになった。 ズガンッと両開きの扉は全開まで開かれ、その音と外から取り込まれた光に全校生徒の目が声の主へと向けられる。 そこには両手に女子を抱きつかせた男子が一人。 うん、わかってましたとも真良くんです。 あ、校長先生の後ろに鬼が見える。 「馬鹿が……静かに入ってくればよかったのに……」 なお、真良達に対しての他の反応は、二年生以上の男子は妬みの視線を向け女子は黄色い歓声を上げた。 一部を除く新入生達は突然のことに驚いていたが、それぞれの容姿を見てテンションを上げていた。 因みに、真良達に完全に存在感を奪われたハゲ……市長は静かに教壇を降りていたりする。 そしてここで校長先生が動いた。 「遅刻者は速やかに空いている席に座り、式の終了後私の所まで出向きなさい。」 綺麗だが底冷えするような声で淡々と告げ、それを聞いた三人は一気に顔を青ざめる。 桜花高校 校長 桜峰 千春 名字から察することができる通り小春の母親であり、この学校で真良達に説教できる数少ない人だ。
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