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あれから、四つ目の依頼の巨大化したデビルイカを、ベル海で討伐した。
海での戦闘は、中々に難しくて苦戦した。
結局は、空気中に固定した空間を作って足場にして空中からデビルイカに攻撃をした。
最終的にはこんがりと焼けたデビルイカは、予想外に美味しかった。
その後、僕達は次の目的地。ボンボ山に居た。
「しっかし、あっついなあ~。参ったぜ」
溜息混じりに言うのは、バーン。
僕は苦笑して言った。
「仕方ないね。バーン。ローブを貸して」
「え?何すんだ?」
紐を解いて僕にローブを渡しながら言うバーン。
僕はそのローブの内側に魔力を込める。
そのままそのローブに、魔法陣を描き込む。
幾つか描き込んでから、バーンに返した。
「羽織って魔力を流して見て。少しで良いよ。初級にも満たない位で」
僕の言葉に首を傾げながら魔力を流し込んだ途端に、驚いた表情をするバーン。
「え?何で?暑くなくなったぞ?何で?」
不思議そうにするバーンに、僕はため息をついた。
「もう。見てなかった?僕、それに魔法陣を描き込んでただろ?それが作動したんだよ」
「え?魔法陣?あ!ああ!あの変な模様!意味が有ったんだ!へえ!凄えな!」
そうか。魔道具を作るのには必要だからって学んだんだっけ。
あれは、興味を持って学ばないと中々複雑だよね。
でも、意味が解ってくると面白いんだよね。
僕は結構好きなんだけどな。魔法陣。
色んな応用が効くしね。
「あ!じゃあ、もしかして、俺のローブって魔道具になっちゃったって事か?うわ!大切にしないとな!」
僕は苦笑して言った。
「本格的に魔道具にするためには、生地に直接特殊な糸を使って縫いこまないとダメなんだよね。だから、それはあんまり持たない魔法陣なんだ。数日で消えちゃうと思う」
「ええーーーーー。残念だなあ。そんだけしか持たねえの?」
「まあね。仕方ないよ。魔法陣が維持出来ないからね」
「そっかーーーーー。便利だよなって思ったんだけどなあ。つまんねえ」
「つまんないってねえ・・・・・・はあ・・・・・もう、バーンってばしょうがないなあ」
僕は苦笑して笑いながら、前を見た。
だいぶ登って来た事で、もう周囲には樹々は無い。
黒く焦げたような石が、転がって居るだけだ。
足場もかなり不安定になっている。
油断して居ると、転がり落ちる可能性も無くはないと思う。
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