第一章

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「梓、今日もいっちょやるか!」 「いいぞ!左之、どうせ負けるんだから」 「何を!なら負けた方が奢りだからな!」 此処は新撰組屯所。 十番組組長、原田左之助と存在しないと言われている零番組の組長、梓が何やら賭けている。 「またやってるよ……。平助、お前どっちに賭ける?」 「僕は梓かなぁ…」 「じゃあ、俺は左之だな」 それを見て二番組組長、永倉新八と八番組組長、藤堂平助がどっちが勝つか賭けている。 毎度のことで慣れてしまっていた。 「梓さーん!お団子食べに行きましょー!」 「お、総司。巡察は終わったの?」 「終わりましたよー。だから行きましょー」 人懐っこい笑みを浮かべて近付いてきたのは一番組組長、沖田総司だ。 梓の手を引いて走り出した。 「ちょ、総司!そんな急がなくても団子は逃げないって!」 「私は早く食べたいんですー!」 姉御肌である梓は誰からも好かれていた。 それは勿論、同じ副長助勤の立場を貰っている者からも、そして隊士からも好かれている。 「また総司か……」 「まぁ、いいではないか。こんな風に笑っていられるのだから」 縁側で煙管を噴かしながら見ているのは副長の土方歳三。 その隣で微笑ましそうに見ているのは新撰組局長、近藤勇だった。
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