169人が本棚に入れています
本棚に追加
「梓、今日もいっちょやるか!」
「いいぞ!左之、どうせ負けるんだから」
「何を!なら負けた方が奢りだからな!」
此処は新撰組屯所。
十番組組長、原田左之助と存在しないと言われている零番組の組長、梓が何やら賭けている。
「またやってるよ……。平助、お前どっちに賭ける?」
「僕は梓かなぁ…」
「じゃあ、俺は左之だな」
それを見て二番組組長、永倉新八と八番組組長、藤堂平助がどっちが勝つか賭けている。
毎度のことで慣れてしまっていた。
「梓さーん!お団子食べに行きましょー!」
「お、総司。巡察は終わったの?」
「終わりましたよー。だから行きましょー」
人懐っこい笑みを浮かべて近付いてきたのは一番組組長、沖田総司だ。
梓の手を引いて走り出した。
「ちょ、総司!そんな急がなくても団子は逃げないって!」
「私は早く食べたいんですー!」
姉御肌である梓は誰からも好かれていた。
それは勿論、同じ副長助勤の立場を貰っている者からも、そして隊士からも好かれている。
「また総司か……」
「まぁ、いいではないか。こんな風に笑っていられるのだから」
縁側で煙管を噴かしながら見ているのは副長の土方歳三。
その隣で微笑ましそうに見ているのは新撰組局長、近藤勇だった。
最初のコメントを投稿しよう!