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「梓も毎度付き合わされて大変だろうがな」
土方は紫煙を吐き出すと共にその言葉を吐いた。
近藤は何も言わずに笑っていた。
「梓さん、此処ですよ!此処!」
「はいはい。じゃあ、私は餡蜜にしようかな」
「なら私はお団子十本下さい!」
「総司、食べ過ぎだから!もう少し控えな」
沖田は渋々承諾して五本に減らした。
それでも多い方だと梓は思っていた。
でも、美味しそうに食べるとその姿を見ているとどうでも良くなってしまった。
総司は好きだなぁ…甘いもの。
こんなに美味しそうに食べれる人中々いないよ。
梓自身も頼んだ餡蜜を口へと運び、美味しくいただいた。
屯所へ帰ろうとした時、沖田がお土産を買うからと待たされていた梓は一人の女の人が武士に囲まれているのを見つけた。
折角、人がいい気分でいたというのに……
「これどうしてくれるんだ?あ?」
「す、すみません!ですが、お金がなくて……」
「なら死んで詫びでもしてくれや」
梓は大きな溜め息を吐いた。
自分の腰に差していた刀を撫でた。
男の一人が刀を抜いた。
「そこまで。大体さ、着物が汚れたくらい何?洗えばそんなもん落ちるでしょ」
梓は男の腕を掴んだ。
女に向かって振り下ろそうとしていたのだが、梓に止められ動かすことが出来ない。
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