第一章

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撫でられた女の人は僅かに顔を赤らめた。 「梓さーん!終わりましたー?」 「終わりましたって……。見てたなら手伝ってくれても良かったでしょ」 「いや、行っても邪魔になりそうでしたので」 お土産を買い終えた沖田が梓のことを呼んでいる。 溜め息を吐きながらも笑い、もう一度女の人の方を振り返った。 「また何かあれば叫んで下さいね」 「あ、あの…!お名前を…」 「あ、私は新撰組零番組組長、梓です。怖い人たちはいないので誤解しないで下さいね」 梓はまたにっこり笑ってから沖田のもとに向かった。 「いやぁ、見事なもんですねぇ…」 「大体さぁ、着物が汚れたくらいで何なの?そんなもん洗えば落ちるってのに」 梓はブツブツと文句を言いながら屯所への帰り道を歩いていた。 だが、その時ふと我に返った。 「あぁぁぁあぁぁ!!私、今日仕事じゃん!総司!先帰るね!」 物凄い勢いで走っていなくなってしまった梓。 一人取り残された沖田は呆然とそれを見送るのだった。
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