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撫でられた女の人は僅かに顔を赤らめた。
「梓さーん!終わりましたー?」
「終わりましたって……。見てたなら手伝ってくれても良かったでしょ」
「いや、行っても邪魔になりそうでしたので」
お土産を買い終えた沖田が梓のことを呼んでいる。
溜め息を吐きながらも笑い、もう一度女の人の方を振り返った。
「また何かあれば叫んで下さいね」
「あ、あの…!お名前を…」
「あ、私は新撰組零番組組長、梓です。怖い人たちはいないので誤解しないで下さいね」
梓はまたにっこり笑ってから沖田のもとに向かった。
「いやぁ、見事なもんですねぇ…」
「大体さぁ、着物が汚れたくらいで何なの?そんなもん洗えば落ちるってのに」
梓はブツブツと文句を言いながら屯所への帰り道を歩いていた。
だが、その時ふと我に返った。
「あぁぁぁあぁぁ!!私、今日仕事じゃん!総司!先帰るね!」
物凄い勢いで走っていなくなってしまった梓。
一人取り残された沖田は呆然とそれを見送るのだった。
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