第一章

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「逃げられる筈ないよね。それは新撰組にいて散々分かってたことじゃない?」 「あ……姉御……」 情けはかけない。 それが例え元私の組の者だとしても。 敵になってしまった者、新撰組から逃げ出した者、色んな人がいる。 同じ釜の飯を食べた仲間だった。 一緒にきつい稽古をした。 だが、それはもう過去の話。 「姉御、自分がやります」 「……そう。いいよ」 一人の隊士が名乗り出た。 そして、容赦なく、何の躊躇いもなく殺した。 梓自身は人を殺すことはしなかった。 屯所に連れ帰るか、他の隊士たちが指示を出す前に殺してしまう。 零番組の仕事の時は冷酷非情に。 普段は明るく皆のお姉さん的存在。 それが梓だ。 「相変わらず仕事は早いもんだな」 「烝もね。これで今日は終わり?」 「あぁ。後始末はこっちでやる」 零番組は屯所へと帰るのだった。
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