169人が本棚に入れています
本棚に追加
「逃げられる筈ないよね。それは新撰組にいて散々分かってたことじゃない?」
「あ……姉御……」
情けはかけない。
それが例え元私の組の者だとしても。
敵になってしまった者、新撰組から逃げ出した者、色んな人がいる。
同じ釜の飯を食べた仲間だった。
一緒にきつい稽古をした。
だが、それはもう過去の話。
「姉御、自分がやります」
「……そう。いいよ」
一人の隊士が名乗り出た。
そして、容赦なく、何の躊躇いもなく殺した。
梓自身は人を殺すことはしなかった。
屯所に連れ帰るか、他の隊士たちが指示を出す前に殺してしまう。
零番組の仕事の時は冷酷非情に。
普段は明るく皆のお姉さん的存在。
それが梓だ。
「相変わらず仕事は早いもんだな」
「烝もね。これで今日は終わり?」
「あぁ。後始末はこっちでやる」
零番組は屯所へと帰るのだった。
最初のコメントを投稿しよう!