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「お疲れ様!明日は昼から稽古!ゆっくり休めよ」
隊士たちは口を揃えて返事をし、零番組を解散した。
そして、梓は報告しに土方のもとにいくのだった。
「土方ー、終わったぞ」
「そうか。ご苦労」
短く返され気に食わなかったのか梓は横から土方の仕事を覗き込んだ。
「字、汚な!」
「うるせぇ!読めりゃあいいだろ、読めりゃあ」
「真心が込もってないなぁ……。土方だって汚い字で書かれたもの読む気する?しねぇだろ?」
梓にそう言われ言葉に詰まる土方。
解読不可能な時もある。
「ほら、貸しなって」
梓は半ば強引に土方から筆を奪い、机の前に座った。
そして、土方が書いていた文章を見ながら綺麗に書き写した。
「自慢じゃないけど、字は綺麗な方だと思うよ、私。いつでも言ってくれれば手伝うからさ」
梓はサラサラと筆を動かし書いていく。
土方は頭を掻き、外が見える位置に座った。
そこで煙管を噴かしながらふと呟いた。
「もう…戻れねぇな……」
「そうだな…。進む以外ない」
紫煙を吐き出し、梓は筆を置いた。
土方の方を見やると片膝を立て、肘をついて煙管を持っている。
少しはだけた着物から見える身体がより艶っぽく見せていた。
「チッ……」
「おい。今、舌打ちしただろ」
「じゃあ、私は寝るわ~。土方も早く寝ろよ」
土方の質問をスルリとかわし逃げて行った。
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