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「あーずーさー……いい加減起きろ!もう昼だぞ!」
「んぅ……もう少し……」
昨日の仕事のせいか寝不足の梓。
起こしに来た藤堂が梓の布団を剥ぐ。
寝相が悪い為か寝間着がはだけ、足が見えて晒をしていない為胸が見える。
女に免疫のない藤堂は顔を真っ赤にして飛び出していくのだった。
「うるさいなぁ……」
藤堂が飛び出していった後にムクリと起き上がってボーッと周りを見ていた。
開きっぱなしの襖に散らかった部屋。
どう見ても女の部屋には見えない。
「梓!また平助が来たんだけど!」
藤堂が連れてきたのは永倉だった。
髪はボサボサだが、無防備にはだけた寝間着に流石の永倉も言葉を失う。
「あー…はよ、ぱっつん」
「もうおはようの時間じゃないから。てか、稽古でしょ?」
その言葉を聞いて梓は静止した。
暫くの沈黙が続いた。
「あぁぁぁ!!!忘れてた!ちょ、ぱっつん、平助!部屋から出てって!」
梓は大急ぎで支度を始めた。
寝間着を脱ぎ捨て晒を巻き、袴をはいてから櫛と手拭いを持って井戸へと向かった。
適当に顔を洗って櫛を使って髪をとかし、頭の上で結い上げた。
「間に合ったー……」
「間に合っていない。もう少し自覚したらどうだ?」
すかさず突っ込まれた梓。
突っ込んだ本人は三番組組長、斎藤一だ。
無口、無表情、常に冷静な斎藤だ。
隊士は全員揃っている。
「ハジメちゃん固すぎなんだってー」
「だからその名で呼ぶな」
梓が近付くと嫌そうに避ける。
口を尖らせ竹刀を持った。
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