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出会い
…その日は突然やってきた
「…もういいです」
とある病室で少女は今さっきまで食べていた昼食のお粥をほとんど手をつけずに看護師にかえした。
看護師は少し困った顔をしたが、何も言わずに昼食のトレーを手にすると病室を出ていった。
「ふぅ…」
ため息をつく。
少女は食べたくないわけでもない。
彼女を蝕む病によって食べれないのだ。
そして彼女は窓を見た。
正確には窓の外の人々だ。
そのなかにいると信じている親の姿を探した。
しかしその姿はない。
いつものことである
(外に行きたいな…)
少女は決して叶うことのない幻想を抱く
いつか、その幻想を可能にしてくれる人物を待ち続ける
これが少女の日課だ
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