ふぁーすと・すてーじ

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 階段を上ると、少し幅の広い通路に出た。左手に扉、奥に鉄格子が見える。  扉の前に、白衣を纏った塊りが天井からぶら下がっている。人形だ。  人形を見ると、素手では落とせない高さにありポケットまで手が届かない。何か無いのか……。  鉄格子の向こう側には、瓦礫の山。格子の中に手を伸ばして探ると、角材が手に入る。  角材で人形を落とす。トラップがあったのか、やり方が乱暴だったのか、角材が折れた。これからもトラップがあると思って良いだろう。  人形を触る。何だか嫌な気がする。もう一度、鉄格子に手を伸ばして角材を手にいれ、今度は人形に角材を使った。  人形の白衣を角材で調べる。……折れた。人形が着ている白衣を広げて、そっと触ると、硬いガラスの感触。  Theresiaの文字が付いたアンプルだった。注射器も着いている。  人形のある床を調べる。もう何も無さそうだ。  そういえば。  私が起きた部屋の中を調べる事をしていなかったな。  部屋に戻り、奥の方を調べると、アンプルが1つ転がっていた。ポケットに入れる。ぐるりと見回す。あとは何もなかった。
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