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何も無い、と言うものの、通路や部屋の中にざわざわと意思を持つかのように小さな赤い粒がうごめいている。私が動くとさーっと離れて行く。
あれは――
『テレジア』……
そうだ。テレジアと呼ばれていた。
人形のある所へ戻り、再び鉄格子へ手を伸ばし角材を手に入れる。
入口から入って左手に見えた扉を開けて中に入る。3体の石像があった。
向かって左側に1体、右手手前に1体、その奥に1体。必ず複数の人の像だ。
右手手前に格子の扉。鍵が掛かっている。その少し奥に扉の無い通路があった。
鍾乳洞の通路だ。
通路の先には、石像広場よりも広い鍾乳洞の部屋があった。
目の前に大きな柱。右手に扉がある。扉には鍵が掛かっている。
柱には、紙片が1枚くっついていた。取る。日記だ。私のではない誰かが書いた物だ。
入ったところから左手奥に行き、右の奥に更に大きな柱。そして、木の箱が目についた。見ると赤黒い物がついている。念の為角材を使って箱を開けた。
バキィ……
折れた。
箱の中に指輪が見えた。他には何も無い。手に入れると、私は周りを見回した。
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