第2話 欲すれば恋か

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夜の仕事を初めてまだ数か月。 昼の仕事だけでは貯金や習い事も出来ないので始めて見たけど、これはこれで難しい世界だった。 男性に好かれるようにふるまって、男性に楽しんでもらえる場を提供する。 処女ではないしお付き合いも豊富ではないけどある。 だから、なんとかなるかと思ったら、そうではなくて、女を提供してお金を貰うというこの仕事はとても頭と精神力と体力を使う。 何せ経験がない私はうまい人の行動をとにかく観察して真似する事しかできない。 この店のママは下品ではない色気と女性らしい仕草が素敵に感じた。 まぁ、それでも夜のお仕事ならではの振る舞いにはなるのだろうけど、最近女を乾かし始めていた私には良い参考書になってしまった。 隣に座った男性を他のお客様と話しながら機嫌を取る方法。 喜ぶボディタッチの仕方など。全て実践したことない技ばかり。 そしてそれをされて喜んでる男性を見ていたせいか、変に見方が偏ってしまって居た。 皆。それを喜ぶんだと。 気が付けば、私は左側二人の常連さんと顔を向けて会話をしながら、 右隣で足を組んで気だるげに座る倉坂さんの膝から太ももの範囲にかけて手を置いて触れていた。 そして、彼もそれを拒絶せずされるがままで… 私の様子を伺っていた気がする。 歪みの始まり。
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