第3話 目覚めた衝動

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「ていうか、昼の仕事もあったんだよね? 真実ちゃんこそあんな遅くまで大丈夫だった?」 私の荷物を丁寧に椅子に置いてから顔を覗かれる。 なんでもないその仕草を記憶に焼き付けようと脳が動いてるのが解る。 今日は少しウェーブが掛かった髪を後ろに流して若干ワイルドな印象だ。 「はい。起きたらちょっと頭ぐるぐるでしたけど、大丈夫です。」 「はは、やっぱり。今日は軽くにしときなね。こちらどうぞ」 「はい。」 通された席はカウンターの奥側。 昨日、倉坂さんが座ってたところだ。 長い足の膝と太ももの感触を思い出して熱が上がる。 「はいどうぞ。」 「あ、はい。…えっと、今日はコロナを…」 おしぼりを受け取りながら思いついたものを頼む。 「了解」 さわやかに微笑んで、ドリンクを取りに行く姿をつい追ってしまう。 いかんいかん。 見すぎた。 ふと目線を外してちょうど斜めのカウンターL字部分に座るお客さんと目が合った。 茶色い髪を無造作にセットしたボブ。確実に私より年下の可愛い系の男の子。 あれ? もしかして、昨日、いた? 「お疲れ様です真実さん。」 「あ、お疲れ様です。昨日はどうもありがとうございます。 酔っ払っちゃってすみません。」 「いえいえ」 あれ、やばい。 名前が思い出せない… えっと。確か… 「リク。次何飲む?」 「あ、じゃあ俺もコロナで。」 わ、倉坂さん、もしかして… 視線を向けるとこちらをちらりと見て軽く微笑む様子に、名前思い出せないの悟ってくれたんだと、感動する。 洞察力の鋭い人だ。 先に私のコロナをコースターに置いてリクさんの分を用意する倉坂さん。 瓶を置くときの手、指の節々が男性特有のラインを描いていて、色気を感じる。 「真実さんは今日もお仕事ですか?」 「あ、はい、仕事で飲んでここでも飲むってどんだけ好きなんだと思いますが(笑) 遠い場所から話しかけてくるリクさんにハッとして顔を向ける。
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