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ーーー幕末、京。
カンカンと耳に心地いい竹刀の音が響く。
いい汗をかいた、と女は汗を拭った。
道場を出て、石段に腰をかける。
「あー、椿さんずる休み!」
ふう、と一息吐いた所で女ーーー篠原椿は背中に重みを感じた。
「……総司、痛い、どいて」
総司と呼ばれた男はにこりと笑うと隣に腰を降ろした。
ふわり、と一陣の風が椿の紅茶色の髪をすくいあげる。
ここは新撰組屯所。
京の街の治安を守る、警備隊の住まう場所だ。
「勝負しよーよ」
「……イヤ」
「えー、なんでっ? いいじゃんか」
「イヤ」
表情を変えず、椿はどうかわそうかと思ったその刹那。
「っひぁぁぁあああ」
突如として、二人の目の前に少女が降ってきた。
‥
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