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「…っ」
こんなこと、考えてもみなかった。
今日は特別な朝だから、おはようのキスをして、ごろごろしながらベッドでイチャイチャして。
それからのんびり朝ご飯を食べて。
それからー…。
「…っ、」
…こんな冷たい態度、取られるだなんて、思ってもみなかった。
昨日の行為を、幸せだと感じたのは俺だけ?
やっぱり男は無理だったってこと?
「大ちゃん…ッ」
何を言いたいのか自分でも分かんないし、そもそもまとまってないけれど。
今すぐに名前を呼ばなきゃいけない気が、なんとなくしたから。
泣きそうになりながら、目の前にいない彼の名を必死に呼ぶと、隣の部屋から服を着た彼が財布を持って出てきた。
「今からコンビニ行って朝ご飯買ってくるから」
そう言って、当然のように一人で玄関に迎う彼。
その背中を見てると、だんだんと胸が苦しくなってきた。
「大ちゃん…!お、俺も一緒に行く…っ」
慌ててベッドから出ると、近くにあった服を適当に掴み、急いで袖を通した。
そんな俺を見る彼に、“待ってて”と言おうと口を開いた時、彼は俺に背を向けて靴に足を入れた。
「いい、一人で行くから」
向けられた背中からじゃ、表情は伝わらない。
だけど、また冷たく突き放されて、せっかく我慢していたのに、涙がどっと溢れ出した。
「何で…?」
ねぇ、どうして。
「そんなに、冷たくするの…?」
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