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俺ね、嬉しかったんだよ。
ずっと好きだった大ちゃんとこういう関係になれたことも。
そして、昨日初めての夜を過ごしたことも。
大ちゃんを好きだって思う気持ちが、今までよりもっといっぱいになって。
もう本当、溢れ出して止まらないくらいになってるのに。
それなのに、どうして…?
「ああもう…、っそ、」
俺のその言葉に、大ちゃんが玄関から戻って来てくれた。
俯く俺の頭上で、彼の口からため息とともに少し苛立った声が漏れる。
「…っ、」
…俺、嫌われちゃったのかな。
ぽたぽたと、いくつもの涙が床に落ちていく。
服をちゃんと着ていないからとか関係なしに、体温が下がった気がする。
心が寒い。
「大ちゃ…、」
ねぇ、
俺はどうしたらいいの?
ぐちゃぐちゃになった自分の感情をどうしていいのか分からなくなって。
離れないで欲しいって、大ちゃんの服をぎゅっと掴んだ。
「…っ、」
突然、視界が真っ暗になり、戸惑う俺の耳に聞こえてきたのはばくばくとうるさい大ちゃんの心音。
それでやっと、抱きしめられてるって、状況把握ができた。
「大ちゃん…?」
「もう本当、陽介さん最悪」
“泣きたいのは俺の方だよ”
大ちゃんは俺を抱きしめる力を強め、俺の肩に顔を埋めた。
「昨日、初めて…陽介さんを抱いたけどさ、俺、ずっと、優しくしたいって思ってたんだよ…。だけど実際そうなったら、優しくする余裕とか全然なくてさ。…少しでも並べるようにって頑張ってたのに、俺、本当余裕なくて、昨日はめちゃくちゃかっこ悪かったじゃん…」
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