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「俊太」
「ん?」
「お前ってやっぱ変だよ」
「え…!」
思い返してみれば、初めて会った日なんか本当にすごかった。
普通だったらとか言い方が悪いけど、友だちになるのにいきなりあんなことはしない。
少なくとも俺は俊太以外、そんな奴に出会ったことはない。
トイレから出てきて、ハンカチとかそんなもの持って来ていない俺は、濡れた手をパタパタと動かして、いわゆる自然乾燥ってやつをやってたんだ。
そうしたら突然俊太が俺の所に走って来て、濡れてるその俺の手に自分の指を絡めて。
『君の手、おっきいね。好き』
って笑ったんだよね。
何だよコイツって、正直思ったけど。
その笑顔があまりにも可愛かったもんだから、それにやられちゃって。
そこからもうずっと俊太にメロメロだ。
何やっても何言っても、すっげぇ可愛いの。
「今日サッカー見てた」
「だ、だめ、だよ…!」
「お前無防備すぎ」
だから、みんなが俊太を触るのはイライラする。
嫉妬でおかしくなりそう。
「だって、みんな足早いから抜かれるもん!」
「頭触られすぎ」
俺以外に触らせないでよ。
お前が懐くのは、俺だけで十分だろ?
「僕、ヘディングできないよ?」
「…もういい」
「え…っ、サッカーできなきゃダメ…なの?」
「もういいから、図書室行くぞ」
好きだと言う俺の手で俊太の手を掴み、俺たちはそのまま図書室へと向かった。
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