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最近、俊太の様子がおかしい。
いや、元から変わってはいたんだけど、最近の行動は完全に理解不能だ。
放課後だけじゃなくて休み時間にも、時間がある時は必ず俺に会いに来るようになった。
でも会いに来て何をしてるかって言ったら、ずっと俺の手を触ってるってだけ。
そんな頻繁にね、会いに来られたら、そりゃあ期待とかしてしまうけど。
会いに来てやることと言ったら手を触るだけたから、本当に好きなのは俺の手なんだなぁって、それだけをやたら再認識させられるのがツラい。
まぁ…可愛いからいいんだけどさ。
「俊太ー」
「んー?」
「俺の手触って楽しいの?」
恋人繋ぎみたいに俺の手を握り、ぎゅっぎゅって何かを確かめるように触る。
「あのね、……あ、やっぱいいや、」
「は?」
「えっと、確かめてるの」
「え?何を?」
確かめてることは何?って顔を覗き込んでみるけど、俺を見ることなく手にばかり集中している。
一番フィットする位置でも確かめてるんだろうか。
「達久くんは、僕が手を触るとどう?」
「どうって?」
「気分とか」
手に向けていた視線を、俊太が俺へと移した。
相変わらずうるうるした瞳が可愛い。
「気分は…特に?」
俊太のこと考えてドキドキするし、触られるとそりゃあムラムラするけど、こんなこと答えられるわけがない。
だって、質問の意図が掴めないし、こんな状況でそうやって答えたら俊太を驚かせてしまう。
……驚かせるだけで済めばいいんだけどさ。
「そっか、」
「ん?」
何が聞きたいんだろう。
俺は何て答えれば良かった?
「なんでもない」
俊太はそう言って、ふにゃりと笑った。
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