生首

2/2
前へ
/38ページ
次へ
「それは!私の息子じゃないの!!」 ユキの周りに【それ】と言葉で表せるモノは無い。 何事だろうと、うっすら目を開けて見ていると、右隣の青年が喋った。 「これはボクのモノです」 丁寧に答えた青年が、女性に突き出した【これ】は、20歳位の男性の生首だった。 生首を見た瞬間、ユキは直感した。 (殺される!) 青年は、すっと立ち上がると、ユキに向き合った。ニカッと歯を見せて笑っている。 この笑顔に背筋が寒くなったユキは、すぐに左隣の少女を起こした。 「おいっ、起きろ!殺されるぞ!!」 ユキは、まだ完全に起きていない少女の手を引き、崖に掛けられている階段を目指して走った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加