第1章

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10才の不安 僕の家族はいくつかの決まりがあった。 ・洋服は次の日に着るものを準備して寝ること ・お風呂はお父さん優先 ・誕生日プレゼントは3日前までにお父さんに申告すること ・出かける時は必ず帰る時間を伝えること ・朝食は必ず、家族4人で取ること ルールは絶対で、破る事は許されなかった。 どうしても守れない状況になりそうな場合は、事前に家族会議で話し合うこと。それが唯一の譲歩だった。 それがないままに破られた時は、「地獄すら生ぬるい」お仕置きが待っていた。 昔一度だけ、ルールを破った事があった。 誕生日のプレゼントを申告した後に、欲しかった物の最新バージョンが発売された。僕は1日悩み、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、プレゼントの変更をお願いした。 結果、烈火の如く怒られ他挙句、元のプレゼントもなしになってしまった。 プレゼントのない誕生日。悔しくて、後悔をして、小さかった僕には忘れても忘れない、黒い思い出として残っている。 それくらい、ルールは厳格に守られるべきものだった。 そんな家族に起こった、ちょっとした変化。 それは朝ごはん前にテレビでやっている、占いについてのこと。 朝ごはんは7時から。これは必ずではなかったけれども、だいたいこの時間から食べ始めることになっていた。 朝ごはんの準備はお母さんがするので、僕はちゃぶ台の前に座って、テレビを見ながら待っている。 お姉ちゃんはまだ寝てるみたいだ。多分遅刻寸前で起きてくるんだろう。お父さんは新聞を開いている。 テレビでニュースが流れているのに、新聞を読んでいる。お父さんだが、6時55分になると新聞を置き、テレビを見始める。 この時間には、占いがやっていた。僕はこの占いを見るのが日課だった。 12星座占いのそれは、11位から順々に発表されていく。後になればなるほど上位になるのだが、1位と12位が同時に発表されるので気が抜けない。 11位から9位。僕の天秤座は無し。ちょっと安心。 8位から6位。天秤座無し。少しわくわくする。 6位にお姉ちゃんとお母さんの水瓶座があった。ラッキーカラーは赤だそうだ。 5位から2位。無し。こうなると逆にドキドキする。1位ならば万々歳だが、12位だった時のがっくり感が嫌だ。 アナウンサーが陽気に「1位と12位の発表です!」なんて言っている。 僕は唾を飲み込んで、次の瞬間を待った。 1位:天秤座
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