第1章

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僕は知っている。2日連続1位になることは希で、1ヶ月に1度あるかないか程度だ。だから本当は、この時点で12位の線が濃厚だと思う。 それでも、2日連続1位がないわけじゃない。月に一度のラッキーが起こるかもしれない。 そうなったらもう、天上天下唯我独尊、地球は僕を中心に回っていて、1週間後に迫っている誕生日プレゼントも、普段はダメって言われる高いものでも・・・。 ジャジャーン!!!「天秤座○○位」 アナウンサーのお姉さんが何を言ったのかは聞こえなかった。僕は画面を確認する。 画面には天秤座の後ろに、1という数字が書いてあった。そしてその後ろに2という数字もくっついていた。 大丈夫、僕は知ってた。心の準備は出来ていたんだ。 でも12位は11位よりも良い点がある。アドバイスが詳しく言ってもらえる点だ 「急がば回れ、余裕を持った行動しましょう」 僕は思う。小学生の僕は、時間に追われるタイミングは1回しかない。登校時間だ。 でも、それも僕にとっては毎日余裕すぎる登校をしている。 要は、なんかアドバイスされた気にならない、アドバイスだった。 「今日は運命の人に出会います」「恋の予感が急接近!?」「無駄遣いに注意」等、どう考えても僕には当てはまらないアドバイスもある。 きっと占いなんて、嘘っぱちなんだろう。天秤座12位だって、嘘っぱちだ。 そう思いながら、テレビを見た。お姉ちゃんが眠たそうに降りてきて、朝食が始まった。 僕はその日、特に良い事も悪い事もなく終わった。 でも次の日からもう、占いは見なくなった。 時間になると、お父さんはチャンネルを変えるようになったからだ。 お父さんは不機嫌なオーラを出しながら新聞と向かいあっている。 お母さんはそんなお父さんを気遣うような節があった。一言一言に神経を張る、なんとなくギスギスした空気だ。 何があったのかは、僕は聞けなかった。 でも多分あの占いが悪いんだと思う。 もうそろそろ僕の誕生日だ。そしてそれは、お父さんの誕生日でもある。 僕は欲しかった誕生日プレゼントが貰えるかどうか不安だ。 僕の心の支えだった占いはもう無いから。
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