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俊哉と千春は高校の同級生で1年生の時に知り合い付き合って10年。
結婚して3年目の夫婦であった。
結婚を期に同居したが、千春は俊哉の両親を本当の親のように慕っており、2人も娘のように接してくれていた。
仕事の俊哉をおいて3人で日帰り旅行をするくらい仲が良かった。
勿論、奈津子と和哉近所では有名のオシドリ夫婦で……
和哉が、倒れて日に日に悪くなり今や意識がなくいつどうなってもおかしくない状態。
辛くないと言ったら嘘になるけど
数ヶ月後の嬉しい知らせで看病と、精神的に辛かった家族の空気は確実に前向きに変わった。
そう。千春の妊娠だ。
元々ひどい生理不順の千春は自然妊娠が難しいと医者に言われおり若いながらも不妊治療をしていた。
和哉の事をきっかけに治療を中断していただけに奈津子は
「生命の誕生は希望だよ。この子は我が家に希望をもたらした。大事にね」
手をしっかりと握りながら千春に話しかけた。
それまで子供を急かすこともなかった奈津子と和哉。
千春の妊娠を知ってからは和哉の病室にも意気揚々と向かっていた。
その様子は、どちらかと言えば浮かれぎみで千春を気遣い口にしなかっただけでずっと待ち望んでいたんだ。
千春はその事に気がついたときに
「……お義父さんにも見せてあげたいな」
和哉に、孫の顔を見せてあげたい。
そう願わずにはいられなかった。
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