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次の日___
「俊哉、お義母さん見て……お義父さんに似てると思わない?」
前日の夜中に陣痛がきて次の日のお昼頃。元気な男の子が産まれた。
千春は病院に駆けつけてくれた俊哉と奈津子に産まれたばかりのわが子を見せそう言った。
「あぁ……」
「ありがとうね。千春ちゃん……」
涙を浮かべながら感動を分かち合う3人。
しばらくして、千春は
「……看護師さんには許可とったの。この子を、お義父さんの病室まで連れていってあげて」
真剣な眼差しで、2人に訴えかけた。
千春は、こうするつもりで和哉のいる病院で出産する事を決めていた。
検診中、2人の知らぬまに病院の人達にずっとお願いをしていた。
「千春ちゃん……でも」
奈津子は産まれたばかりの子を連れ回すのを気が引けた奈津子だが
「……許可あるんだろ?わかった」
俊哉は千春の想いを汲んでふたつ返事した。
「ありがとう俊哉……お願いね」
千春は、にこりと笑った。
+++
「……親父。誕生日おめでとう
見てよ。こいつも親父と同じ誕生日だ
……一緒に誕生日祝いしたいな」
2人で病室に行き、俊哉はここまで奈津子の腕にいた子供を抱き
寝ている和哉の顔のすぐ横に座り、子供を見せるようにして声をかけた。
「……ふぇっふぇっ」
しかし、抱き方のせいかすぐに子供は泣き出してしまった。
「え!?え!?」
慌てて立ち上がる俊哉。そこにすかさず奈津子がだっこし直した。
「しっかりしなさい」
「……はい」
軽く叱られ、椅子にぽすんと座った時、目の前の和哉の異変に気がついた。
「………母さん!!親父が……親父が起きた!!」
山城家の希望の光。
それはそんな奇跡をももたらしてくれた。
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