prologue

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それは、春が夏へと移り変わる日々の途中のことだった。 平日の真昼、人気の少ない電車の中、駅を八つ越える過程をぼんやりと待つ。 周りの人が自分の膝元に視線を落としているように、自然と自分もそうなって、窓の外から溢れる陽射しに微睡んでいた。 ふと、携帯の通知音が短く鳴り一時的に目が冴える。 - 今日の晩ご飯、何がいいですかねー?- 語尾に笑った顔文字が付いたその短文は、同居人からのものだった。 - 子供受けしそうなものだったらなんでもいいんじゃない - 対してこっちからは、何の飾りもない短文をそっけなく返す。 - そんな言い方しないでちょっとは考えてくださいよー!子供が好きそうなものって、例えばどんなのですかー? - たった今送信ボタンを押したというのに、一瞬にして返事が来る。 まさか、ずっと携帯の前でこっちの返事を待っているんじゃないだろうな。 そんなことを思いながら、向こうからの問いに対する返事を適当に考えた。 - オムライスとか、ハンバーグとか - - んー、色々ありますよねぇ。悩むなあ。とりあえず、帰るときにはまたメールしてもらえないですかー? - - うん -
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