62人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
真っ白い部屋。
オレ以外、誰も居ない部屋。
薬や消毒液の匂いばかりの、寂しい部屋。
「…………退屈だ」
病室のベッドで横たわりながらオレ、雨宮 陽太(あめみや ようた)はポツリと呟いた。
今の独り言が人に聞かれていたのなら、何かするなり、動くなりしろと思うだろう。
だがオレは動かないんじゃない。
動けないんだ。
何故なら、右腕の二の腕辺りに点滴用の針が刺されているから。
点滴が終わるまでは、安静にしなさいと看護婦さんからも言われている。
……何か今年は点滴ばっかされてるような。
17歳の思い出が点滴ばかりとか、マジで笑えねえ。
チラッと点滴液が入っているバッグを見ると、まだ半分以上も残っていた。
もう随分と長い間かかってると感じるが、実際はそれほど時間は経過していないようだ。
まあ、オレが何もせずボケーッとしてるから更に時間が長く感じるんだろう。
しっかし、いつまでかかんだコレ?
退屈で死にそうなんですけど。
最初のコメントを投稿しよう!