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8時10分。
毎朝。
顔を洗って、歯を磨き終わったご主人様が、真っ先に僕のところへやってくる。
そして、目の前の空のお皿に、その日のフルーツをくれるんだ。
リンゴ、グレープフルーツ、いちご、ときたまキウイ。
目の前で、ご主人様も僕と同じフルーツを食べる。
僕と顔を見合わせながら、美味しそうに。
そして微笑んで、言ってくれるんだ。
「ずっと大好きだよ」って。
平日。
フルーツを食べ終わったご主人様は、慌しく支度をして、出かけてしまう。
僕は一人ぼっち。
そんな時は一日中、ご主人様との事を考えるんだ。
毎日の散歩。
曲がり角の家の、シェパードにお尻を噛まれたこと。
ちっぽけな僕を見て、小さな男の子が泣き出したこと。
「ごめんなさい」って言いながら、
僕とご主人様は、目を合わせて笑ったんだ。
一緒に海へ旅行に行ったこと。
ご主人様が足をクラゲに噛まれたこと。
僕が泳げなくて、ご主人様にしがみついて、傷だらけにしちゃったこと。
一緒に遊んでたプードルの、ボールを破いちゃって怒られたこと。
でも散々怒った後、宿に戻ったら優しく頭を撫でてくれたこと。
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