6人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
初めてトリミングに行った時のこと。
2時間頑張って耐えたのに、ようやく迎えに来たご主人様に、全然気づいてもらえなかったこと。
なかなか下を見てくれないから、ぴょんぴょん跳ねて、必死にアピールして。
ようやく僕と目が合ったご主人様が、目を丸くした後、お腹をかかえて笑ったこと。
おうちに帰ってから、「はやく毛が伸びるといいね」って、笑いを噛み殺しながら、なんだかスースーする首元を撫でられたこと。
初めて具合が悪くなった時のこと。
ご主人様が、自分のことのように心配してくれたこと。
「変わってあげられたらいいのに」って何度も言ってくれたこと。
病院で震える僕を、ずっと優しく撫でてくれたこと。
ご主人様との思い出。
全部覚えてるよ。
楽しかったことも、辛かったことも。
全部大事な思い出。だって、いつだってご主人様と一緒だもん。
沢山思い出しているうちに、ガチャリと鍵の開く音がして、僕は飛び起きる。
尻尾を振って見つめていると、ご主人様はまっすぐに僕の元へ来てくれるんだ。
「ただいま」って。
だから僕も、「おかえり」って、ちぎれるくらい尻尾を振るんだ。
最初のコメントを投稿しよう!