第1章

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いつも熱を出すと見る夢がある。 よく思い出せないけど、一番古い夢の記憶は幼稚園のころ。 いつも僕はママと手を繋ごうとしている、その時はママはバス停でバスを 待っていた。 「ママ!」 僕が叫ぶとママはこちらに微笑みながら手を伸ばし、僕と手を繋いでくれる。 でも聞こえるんだいつも 「ママ!」 って、僕の声にかぶって誰かの声が。 いつもその誰かがママと先に手を繋いだらどうしよう!って汗だくになって目が覚める。 今僕はまた熱を出してる。 夢が怖くてなかなか寝付けないでいたら、ママがおでこを冷たくてやわらかい手で撫でながら 「寝ないとまた悪くなっちゃうよ?大丈夫、ここにいるからね」 って僕の手を握ってくれた。 僕はだから安心して目を閉じたんだけど、やっぱり夢をみた。 さっき手を繋いで安心してしまったからか、はじめて僕は負けてしまった。 目が覚めた。冷たい汗が全身を覆っていてすごく、不愉快だった。 「ママ?」 何も聞こえない。真っ暗だ。 「ママ!」 寝返りを打った拍子にベッドから落ちてしまう。 床に打ちつけられるのを覚悟したが、体はいつまでも落ちていく。 「ママ、ママ!」 夢だ。夢だ! 「ママ!ママー!」
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