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「ドラゴンの王に聞いた事がある。ドラゴンスレイヤーは竜の力を無効化する秘術を会得している、と」
あ、そうなのか?
お前の中ではそういう設定なんだな。
ナイトの顎に添えた手を外すと、ナイトは半分くらい包帯の解けた左手をゆっくり擦る。
「まさかお前がドラゴンスレイヤーだったとは……」
「そうそう、ドラゴンスレイヤーな。それでいくわ」
「は?」
ナイトの中のドラゴンスレイヤーがどんな物か解らないから、これから話を合わせるのは大変かもしれない。
ここは適当に誤魔化しておくか。
「俺もさっき自分がドラゴンスレイヤーだって思い出したばっかりなんだよ。ナイトの邪眼を見てからな」
「俺の、邪眼……」
「そしてもう一つ思い出したのは、俺はとある事情で記憶を封じられたらしい。それがナイトの邪眼で徐々に蘇ってきたんだ」
よし、この設定ならナイトに何か言われても『それは覚えてない』で誤魔化せる。
ファンタジーなんて映画くらいしか観ないしな。
勝手に設定を作ったらナイトに嘘だとすぐバレる。
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