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「おい、随分上機嫌だな」
駅を出て、
出社する道の途中に
深町さんが立っていた。
「……そろそろ
来ると思った……」
深町さんはだるそうに
首をこき、と鳴らし
あたしの方へ歩いて来る。
少し長めの茶髪が
さらさらと眉の辺りで揺れ、
その下の一重の目が
真っすぐあたしをとらえていた。
「当たり前だろ?
俺のこと、避けてたくせに」
「それこそ、当たり前でしょ。
……あたし、断ったはずだし」
.
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