part‐1

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  ____月が見える。 緑いっぱいの道を、ずっと、歩いている。 それだけなのに、私の心はとても満ちていた。 鎖に繋がれていない、私。 外にいる、私。 このまま歩いていれば、いずれは世界の果てまで行けるのだろうか。 私以外の誰かに逢えるのだろうか。 私の世界は、広がるのだろうか。 『っ…!』 ………だが突然、頭に強い痛みが走った。 私は頭をおさえ、うずくまって下を向く。 すると、伸びきった長い髪が視界に入る。 その髪は、そこらじゅうにある色と同じ、【緑】に染まっていた。 ああ、そうだ。 私は、【緑】を選んだ。 理解をすると頭の痛みは退いていく。私は顔をあげ、空を見上げた。 暗い。でも、明るい。 無数にちりばめられた星の一つ一つが輝いていて、オーロラが揺れている。 中でも一際輝き、私の目を惹くのは【月】だった。 そう。そう…………。 私は、【月】に魅入られた。 私はゆっくりと、月に向かって手を伸ばす。 すると私の中に、一つの衝動が沸き上がった。 _____求めても良いのだろうか。この衝動を。 とうの昔に諦め、忘れていたはずなのに。諦めていたはずなのに。手放したはずなのに。もう、どうでもいいのに。 体がふわふわする。 思考が鈍る。 理性が消え、本能だけが剥き出しになる感覚が襲いかかる。 その言葉を言っても、虚しいだけ。 それなのに、私は、 口を開き、音を、吐いた。 『…………………………たすけて。』   アナタハ、     ____ナ、ヒト。 ふわ…………っ そして次の瞬間。 伸ばした手が、掴まれた。  
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