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ーーーーーー急に現実へと引き戻された私は、大きく目を見開いた。
「……………は…?」
何故なら、目を閉じる前にはいなかったはずの『人物』が、そこにいたから。
その人は、ただ、無意識に伸ばしてしまった私の手を握っていた。
「……。」
人の、私以外の、ぬくもり。
私以外の、生命。
「……言葉は、理解できるか。」
じっとその人の顔を見ていると、その人が口を開いた。
話し、かけられた。
私は頷く。そしたらその人は微笑んで、グッと私の腕を引いて立ち上がらせてくれた。
「歩ける?」
「……」
そう言われて、私は思い出す。うつ向いて自分の足元を見てみれば、そこには眠る前と同様に嵌められたままの枷。
これがあるかぎり、私は鎖の長さの範囲までしか行動することが出来ない。
「あの、これ…」
私は枷を指差し、その人に伝える。
「え?…あぁ。」
その人は片膝をついて枷を調べ出した。私を拘束している枷が外れた瞬間を私は見たことがない。鍵穴らしきものはあるけど、鍵なんてこの部屋にあるわけないし、そもそも、この部屋から出たこともないし。
だから、私にはそれをどうにかする術が思い付かない。すると唐突に、その人は自身の背中に手を伸ばす。そして背負っていたものを手に取ると、枷に繋がる鎖に向けた。
それは、重たそうな大きな銃。その人は慣れた手付きで安全装置を解除する。
じっと見ていると、ふとその人が顔をあげ、笑った。
「ちょっと衝撃来るかもしれないけど、痛くないから。」
「……」
じっと見てたから、不安がられていると思ったのだろうか。
私はその人を上から見下ろす。綺麗な顔立ちだ。あと、髪も綺麗。痛んでないからより銀色に輝いている。
まるで、宝石みたいだ。
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