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ーーーーー再び森を歩いていた『生命』の目に飛び込んだのは、宙に浮かぶ様々な物体だった。
剣。
杖。
弓。
銃。
「うーん…」
世界には、危ないものがたくさんある。自分の身はきちんと自分で守らなければいけない。その為に必要不可欠であるのは武器である。
流石にこれは、先程の衣服の時のように適当に選ぶわけにはいかない。『生命』は腕を組み浮かぶ様々な武器をじっくりと見ていく。
一通り見ていった後。『生命』はひとつの武器へと手を伸ばした。
それは………大きな剣だった。
剣を『生命』がしっかりと握り締めると、途端に浮いていた剣は重力に逆らうことを止める。
「うわっ!?」
ガシャンッ!
突然やって来るずしりと来る重みに、『生命』は耐えきれずその剣を落としてしまった。
「結構重いんだ、これ…」
強そうだと思って手に取ったのだが、もしかすると扱うには力が必要なのかもしれない。
まぁ、だが、無いよりはマシだろう。
『生命』は地面へ落ちた剣を拾い上げると、それを背中に背負った。
ーーーーーーそれからまた、暫く『生命』は森を歩いた。
やがて、『生命』は幾多もの分かれ道にぶつかった。
「うぇー…これ、どこ通ったら良いの?」
あまりにも選択肢が多すぎて、『生命』はその場で立ち止まり、キョロキョロと辺りを見回す。
「……ん?」
すると、ちょうど分かれ道の真ん中に、ぽつんと小さな子どもが立っているのを見付けた。
「……。」
『生命』はその子どもに近付いてみる。子どもは『生命』の存在に何の反応も示さない。ただ、無表情でそこに立っている。
「……何、してるの?」
「…………貴方は、普通の人。」
「え?」
だが声をかけてみると、子どもは機械みたいに抑揚のない語り口で、いきなり話始めた。
「貴方は、虐めを受ける可哀想な人。
貴方は、裕福で幸せな人。
貴方は、残酷で暴力的な人。
貴方は、孤独な人。
貴方は、貧乏で苦労の多い人。
貴方は、生まれたことを祝福されなかった人。
貴方は、どんな人?」
「……。」
『生命』は子どもに問い掛けられ、考えた。
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