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  ……………でも、『生命』はすぐに考えるのを止めた。 何故なら、今の『生命』にはそのどれにも当てはまらないからである。 『生命』はこれから世界に出て、子どもが言ったどれかの人になるのだ。 なので、今は考えても無駄だと『生命』は悟り、子どもの問い掛けに「さあ?」と一言答えるだけだった。 それを聞いた子どもは、くるりと向きを変え、ひとつの分かれ道を指差した。 「……貴方は、______な、人。」 「え、なんて?」 まるで雑音が入ったみたいに、一部分だけ子どもの言葉が聞こえなかった。 聞き返すが、子どもがそれ以上何かを口にすることはなかった。『生命』は仕方無く、もやっとした気持ちに蓋をし、子どもが指し示す道を歩き出した。 「……。」 ーーーーーふと、『生命』は歩きながら上を見上げる。 道はくっきりと見えているのに、空が暗い。だが道の先の空には、淡く輝く月が出ていた。 「……きれーだなぁ」 自身が地面の草や土を踏み締める音だけが、響く。一人だが、不思議と恐怖はない。ただ穏やかな気分で、緑の中を月に向かって進んで行く。 世界とは、どんなところなんだろう。 楽しいところなのだろうか。苦しいところなのだろうか。 冗談半分で過去の人生造ってみたり、ニートになりたいだとか名前はよし子が良いとか適当なことを女神に言ってはみたものの、別に、自分の運命なんて何でも良かった。 「(私は森の泉の中で形作られ、意思をもつ『生命』となった…。)」 今はただ、世界をこの目で見てみたいとしか思っていなかった。  
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