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「謹慎? じゃあそいつが・・・・・・?」 「恐らく、ね」  二人で元々森だった場所を凝視する。それから呆気に取られた様子で 「にしてもそのシスター、森を吹き飛ばす程って、一体何者なんだ?」  とファイが言葉を漏らした。  シスターは聖魔術が使えると聞く。しかしその力を目の当たりにしたことは教会に勤めるゼータでさえなかった。そのため詳しくは知らないが、それでもそのシスターは強力な魔術を使えるのだろうことは分かる。  不意にファイが立ち上がった。どうしたのかと首を上げるゼータに言う。 「行ってみようぜ、その元謹慎場所に。そうすればシスターに会えるかもしれないじゃん」  ファイの決意のこもった言葉にゼータは「えっ」と目を丸くする。 「今から行くの? シスターの所に?」 「おう。だって気になるし」 「いやでもっ! 危ないかもしれないよ」  切羽詰まった声でゼータはファイを止めようとするが、それでもファイの決意は揺るがなかった。真っ直ぐとお祭り騒ぎの先の元森を見ている。  丁度踊り子達の演技もクライマックスのようで、音量が一気に大きくなった。音楽も派手なものになり、盛り上がりを空気を震わせて感じさせる。だがそれにも臆することなくファイは 「それでも俺は行く」  ともう一度決意を露わにし、次の瞬間立っていた幹から飛び降りた。幹が一度撓り、揺れた。ゼータは何とか手で踏ん張って落ちるのを阻止する。その間にもファイは駆け出していた。 「あ、ねえファイ! ちょっと!」  振り返って小さくなりつつある背中に必死に呼びかけるとファイは一度足を止めてくれた。しかし 「行ってくる」  そう言って右手を上げると再び走り出してしまった。半透明のリングが小さく陽光を反射した。今度は止まることなくやがて森の奥に消え去る。その様子をはた呆然と見守っていたゼータだったがはっと我に返り。 「いけない。追いかけないと」  自分も木から勢い良く飛び降りた。 「放っておくとどうなるか分かったもんじゃないんだからね。だいたいこういう時って嫌な予感しかしないんだよ」  ぶつぶつと言いながらもつい先ほどのファイ同様駆け出す。  服のマントにも似た裾を靡かせながら。ゼータも森の奥へと姿を消した。    ◆
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