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ミュージシャンというのは、
ただ音楽を
作っていればいいという
わけではない。
事務所に
「どこどこに
挨拶に行きます」と
伝えられ、
どこの誰か
よくわからない
相手と会って話すことも
仕事のうちだ。
会ったのが
大きな会社の権利者だと
あとから知ることは
わりと多い。
今日もたぶん
その系統の仕事で、
話しかけてくる
人間には全員
愛想よく返せ、と
命じられていた。
が、
テーブルの上に
並べられた
ブリリアントブルーの
ペットボトルを見て、
溜め息が漏れる。
「どうしたの、
拓海さん」
「これ、誰が用意した？」
「ああ、
たぶんスポンサー側の
どなたかだと思うけど……」
俺の質問の意味が
わからないらしく、
志緒は困ったように
首を傾げた。
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