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「……冴とか」
一番危ないことを
口にしてみた。
すると志緒の
疑わしい怒りの表情が、
とたんに
傷ついたように崩れる。
「あれは、
なかったことになってるの」
「……」
「あの時のあれは、
拓海さんと
よりが戻ったってわけでも
なかったし……
咎める立場じゃなかった、
っていうか」
なんとなく
ショックを受けた。
俺の中では、
再会してすぐに
キスした瞬間
よりが戻ったようなものだと
思っていたから。
「そのあと拓海さんと
いっぱい話して、
誤解が解けたでしょ。
だからそれ以前のことは
水に流すことに……
なかったことにしたんだよ、
あたしなりに」
「……そうか」
声を発するので
精いっぱいだった。
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