自立とは乖離のことである

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  冴とあんなことをしたのは、 耐えきれなくて 志緒を抱いたあとだ。 抱いたのに、 あれもよりが 戻ったってわけではない、 ということか。 ……戻ってないのに 俺に抱かれたのか。 女ってわからない。 しくりとした 疼きとショックを 引きずるような気分で、 しょっぱくて甘いだけの ドリンクを もう一度口にした。 冷たいが口の中で ねろりとぬるくなるドリンクは、 清涼感とは程遠い。 「拓海さん」 「なに」 「なにを 知りたかったのかは わからないけど、 うっかり そんなこと訊かないで」 「……」 「やだよ、 ただの想像でも。 拓海さんが ほかの女の人と、なんて」 「……」 「心臓とか お腹とか頭とか、 キリキリしてきちゃう」 「……悪かったよ」 .
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